NIEI|丹影

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What is Kiyomizu-yaki? 清水焼とは

京都の代表的な焼き物である〈清水焼〉。江戸期には、京都の各地で焼き物が作られており、清水寺周辺で焼かれていた焼き物をとくに〈清水焼〉と呼んでいました。一方、桃山時代から江戸時代初期に京都で作られていた陶磁器の総称をさして“京焼”と呼ばれることから、正式には〈京焼・清水焼〉と呼びます。

もともと陶土や陶石が十分でなかった京都には、日本各地から材料が運び込まれるとともに、優れた陶工も集まりました。そんな多様な産地の焼き物の長所が幾重にも重なり合うことで、現在の京焼・清水焼が成り立っています。

また、大名や公家の茶会などに使われる機会が多く、競って武家や公家好みの焼き物を作ったことから、使い勝手などの技術面はもちろんのこと、装飾性や芸術性を大いに高めることになりました。そのため、「茶の湯」、「華道」、「香道」などの独自の芸道文化を育む、京都ならではの、華やかで繊細な絵付けが特徴となっています。

Painting profession “ETSUKESHI”? 絵付け専門職
「絵付師」

焼き物は、その多くが、ろくろ・焼成・絵付けにいたるまでのすべての工程を1人の職人によって行われます。しかし、清水焼では分業化を進めることで発展してきた歴史があり、各工程を専門の職人が担う、技術の集大成となっています。

そんな製作工程で、絵付けを専門に担当するのが〈絵付け師〉。絵付け師の中でも、さらに細かく役割が分けられており、下絵専門の絵付け師、上絵専門の絵付け師、さらには、濃師(だみし)と呼ばれる、色の濃淡やボカシを自在に操る技術を持つ、色塗りの専門職もあります。こうして作業を細分化をすることで、職人たちは深くその技術を掘り下げることができ、清水焼の特徴である細かな模様の絵付けが実現できているのです。

Traditional craftsman “NIEI” 伝統工芸士 丹影

私が修行した窯元は、京料理などに使用する割烹食器を得意としていたところで、乾山写し(尾形乾山/江戸時代の清水焼の歴史を語る上で欠かせない名工)をはじめ、清水焼の特徴的な絵付けの技術を必須としているところでした。そこでは、見本となる絵付けの“色の濃さ”、“線の太さ”、“柄の形状”などを瞬時に判断して限りなく近いものを作る技術、そして、多数の注文品のすべてを均一の調子で揃える技術を持つことが求められました。

例えば、同じ模様を、同じ大きさ、同じ色の濃さに揃え、繰り返し描き連ねていく〈描詰(かきづめ)〉という技法は、高い技術が要求される清水焼の絵付け師にとっては必須のもの。こうした伝統技法を身体に染み込ませた職人としての活動が、私の一つの柱です。

一方、伝統的な制約を越え、自分の技術の限界ギリギリまでに挑戦したモノづくりがしたいという衝動から、独自の作品づくりにも積極的に取り組んでいます。それが陶号〈丹影〉を掲げて行っている作家活動です。細かな描き込み、華やかな色使いの技術をさらに突き詰め、市販品では実現できないような精緻な表現を常に追い求めつつも、決して華美にはならず、京都の焼き物らしい優美さをまとう作品を目指しています。

Career / Award 経歴・受賞歴

2018年
陶号を丹影とする。

2018年
第40回 京焼、清水焼展
京都陶磁器卸商業協同組合理事長賞
京都陶磁器意匠保護協会会長賞

2018年
第60回 京都色絵陶芸展
京都新聞社賞

2020年
第42回 京焼・清水焼展
京都陶磁器協会理事長賞

経済産業大臣指定の伝統工芸士に認定

京都市伝統産業「未来の名匠」に認定